経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門
伊丹敬之さんの『経営を見る眼 日々の仕事の意味を知るための経営入門』を読みました。
本書は読書会のメンバーと新宿の紀伊国屋に行ったときに買った本です。
本書は企業組織の中でマネジャーや様々な立場のリーダーになることを目指している人たちに、企業の経営というものをどのような眼で見ればよいのか、その見方を書いています。
また、「そもそも“働くこと”とはどういうことなのか」「企業とはいったい何か」という根本的なところからスタートしています。
なので、いまいち“働くこと”の意味が分かっていないという方や企業に関する基本的なことを知りたいという方にもぜひおすすめです。
“経営”の初心者にもわかりやすく用語説明をしながら書かれているので、少し難しい内容ではありましたが、様々な知識を得ることができた、と感じています。
本書は何回も読みたいと思います!
本書の最終目的である、“経営を見る眼”を養うためのヒントの一つとして“キーワードで考える”が挙げられています。
- 当たり前スタンダード
- 神は細部に宿る
- 人は性善なれども弱し
- 六割で優良企業
- 目に見えないことこそ重要
著者は上記の5つのキーワードを挙げています。
1.当たり前スタンダード
この言葉は著者の造語で、“誰が考えても当たり前の標準”という意味です。
これは「顧客の満足を本当に考えた行動を組織のあちこちでする」などの、企業にとって当たり前のことをきちんと実行できているか、という眼で経営を見るということです。
当たり前のことができない経営に、いい経営があるはずがない
のです。
そう考える理由
- 当たり前のことをきちんと考える、しかも自分の頭の中で論理を考えることが大切なため。
- 経営の表面の下に隠れている本当の問題を掘り起こす手がかりになるため。
2.神は細部に宿る
これは簡単に言うと、「細部は全体の象徴である」ということです。
つまり、大きなことでなく小さいこと(細部)を見ると、全体が見えるということです。
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そうした小さな穴を早期発見、早期解決できるかどうかで、経営の成否はかなり決まる。
3.人は性善なれども弱し
人間は様々であるので、一つの想定がすべての人に通用すると考えること自体が間違いとなります。
しかし、「多くの人に共通するものは何か」ということは考えることができる、ということです。
組織の中では多くの人々がそれぞれに「ついついの甘えと錯覚」を持ってしまいがちです。
そういった性弱の部分をいかに防ぐかは重要な思考の一つとなります。
4.六割で優良企業
これは著者にとっての優良企業の定義が
「その企業に働く人の六割が、当たり前のことをきちんとやっている企業」だということです。
それくらい、組織全体として当たり前のことをするのは大変なのです。
そのためには、「少し良いことの積み重ね」をするべきだということです。
5.目に見えないことこそ重要
経営はうわべではなく、目に見えないことを見るようにすることで、“経営を見る眼”が養われます。
「見えざる資産(技術やノウハウ)は、見える人には見えて、見えない人には見えない」
これはとても深い言葉だと思います。
しかし、これはあくまで著者なりのキーワードなので、自分なりのキーワードを考えていくことが必要であると思いました。
最後には経営について、
経営は、人間の総合判断力の幅と深さを鍛える、絶好の知的営為である。
と述べています。
本書は学ぶことが多かったですが、経営というのは本当に奥が深く、私はまだまだ知らないことだらけだと思います。
- 作者: 伊丹敬之
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/06/29
- メディア: 単行本
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